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2006-10-12現代文と格闘してます

現代文と格闘してます 例題1: 青木保『文化の否定性』 (1) まずは構成の把握だ

現代文と格闘する (河合塾SERIES)

現代文と格闘する (河合塾SERIES)

1. まず、形式段落に通し番号をつける→つけたよ

2. 強調的表現・キーワード・論理展開を示す部分に印を付けながら読む→つけたよ

というわけで、読む。


最初の段落はこれ。

私はこの頃、二十一世紀も間近になって、文化が人類を苦しめはじめたのではないか、とよく考えるようになった。

この文には2つの要素がある。「二十一世紀も間近になって」と「文化が人類を苦しめはじめたのではないか」だ。英作文でよくある説明を引合いに出せば、最初の文はtopic sentenceだ。んでtopic sentenceはtopicとcontrolling ideaの2つの要素でできている。「(topic) is (controlling idea).」てな感じで。とすると、以後の段落はこのtopicにcoherentなはずなので、「○○な時代は」といった感じの文を取出してみよう。

(1) 私はこの頃、[二十一世紀も間近になって]、[文化が人類を苦しめはじめたのではないか]、とよく考えるようになった。

(2) [おそらく人類史上初めて]、[文化が否定的な作用をするようになってきた、少なくとも文化をそう受け取る時期が訪れてきた]、という気がしてならないのだ。

(4) [情報化の地球時代、あるいは国際化時代において]、[人間と人間、人類の間に大きなコミュニケーションの障害をつくり出すのも文化である]。

(8) [情報化と国際化の時代にあっては]、[自文化に対するこのアンビバレンスは、一般的にいってもこれから大きなものとなるにちがいない]。

(9) [情報化と国際化の時代において]、[人々は従来と異なり、身近に付き合うことが多くなる]。

(10) しかも、皮肉なことに[衛星中継時代の世界の情勢は]、[他の人々の文化などに構っていられないように、実際はますます中心を失いながらも何かあるべきひとつの中心を追求せざるを得ない]ということなのだ。

これを串刺しして読むと、前半は、「二十一世紀も間近になった現代はおそらく人類史上初めての情報化と国際化の時代」であり、後半は、「文化の否定的な作用とは、人類の間に大きなコミュニケーションの障害をつくり出すこと」であるとわかる。

ここでぜひとも注目したいのが、(8)の「アンビバレンス」という言葉。(1),(2),(4)と文化の否定的作用について書かれていたのが(8)で調子が変っている。「アンビバレンス」というのは、相反する要素が一体になっていて、にっちもさっちもいかなくて困ったな、という意味なので、(1),(2),(4)の文化の否定的側面に加えて、肯定的側面との関係について話題にするよ、ということなのだ。また、(8)には強調的表現が特に多く出てくる。(7)と(8)の間が段落の区切りだろう。

追記: 要約しようとしてなんか変だと想うたら、ここ間違いだった。(8)で(3)からの流れが統合されてるのだから、(8)が(3)からの段落のまとめであり、(8)と(9)が段落の区切りだ。

(5),(6),(7)から強調的表現の箇所を抜出すと、

(5) 現代の戦争・紛争・摩擦は、そのほとんどの原因を「文化」にもつといってよいのではないか。

(6) 文化の厄介な性質をますます強く思うようになった。

(7) 文化から逃れられたらどんなに楽かと思わずにはいられなくなった。

とあるので、(4)の「現代の世界の難問が多く文化そのものの性質に発することも明らかな事実である」と一続きだ。強調表現のくどさからも、(4)の主張を畳みかけるように推しているようだ。

(1)と(2)は「今の時代になって初めて文化が否定的に作用するようになった」という同じことの繰返しで、(2)で展開があるわけではないので、(2)は(1)の補足で、合わせて一段落で、冒頭でのテーマの提示だ。

さて、残りは(3)だ。(3)を見ると、書出しが

(3) 人類が「森からサバンナ」へ出てきて、

であることから、(2)の「人類史上初めて」という表現を承けて、それ以前の、文化が否定的な作用をするようになる前のことが書かれている。

(3) 文化を第二の本能として発達させたことは明らかである。

(3) ことばから食べものから技術まで文化なくして人間は一日たりとも生きられない。文化は人間のアイデンティティの核心である。

とあり、文化の肯定的側面について書いてある。つまり、(3)の肯定的側面(正)と(4)〜(7)の否定的側面(反)が(8)で合流する、のか。

アイデンティティ」という言葉は(3)で1回出たきりしばらく出て来ず、(8)で再登場し、続いて(9),(10)と立て続けに出てくる。

次に、(11)と(12)。冒頭からのtopic sentenceの展開、「今の時代は〜である」は(10)までで途絶えて、(11)(12)には出て来ない。強調的表現の箇所を抜出すと、

(11) 文化の否定的作用をもっと強く認識する必要を思わないではいられないのである。

(12) 「自文化」についてもっと冷静に抑えるようにしたらどうか、とはいいたいのである。

となっていて、「必要」、「したらどうか」と、著者の主張が出てくる。よって、この2つはまとめて最後の段落だ。

以上から、この文章は

  • (1)(2)
  • (3)〜(8)
  • (9)〜(10)
  • (11)(12)

の4つの意味段落に分かれ、

       ┌──────────┐
       │(3)         ┐   │
(1)(2)→│            ├→(8) │→(9)(10)→(11)(12)
       │(4)(5)(6)(7)┘   │
       └──────────┘

という関係になっている。

現代文と格闘してます 前口上

現代文と格闘する (河合塾SERIES)

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しばらくこれやります。1問当り10時間くらいかけて。これによって、斜め読みできないせいでざっと読めばなんとなく解るというわけには中々いかない外国語の文章の読解力が上がることを期待しているのだ。

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