Hatena::Groupjiangmin

jiangminの学習帳 RSSフィード

2012-02-03

印欧語の語尾は同一の形態素の中に文法的には全く性質の異なったいくつもの機能が混在

松本克己『世界言語への視座』を読む(その3) 印欧語における統語構造の変化の原因 - 言問い亭12月号 (2011年)

 従来あまり注意されなかったことであるが,印欧語の格組織(あるいは
「格変化」 declension」)は,他の諸言語にはほとんど例のないきわめて
特異な性格を持っている.というのは,いわゆる「格語尾」が単に「格」
の機能を標示するだけでなく同時に,「数」(および「性」)の機能をも
標示するという事実である.つまり同一の形態素の中に文法的には全く性
質の異なったいくつもの機能が混在(または融合)しているわけで,これ
は言語の機能的観点から見て決して好ましい特性とは言えない.印欧語に
おいて「性」の機能が格変化の中に組み込まれたのはそれほど古い時期と
は思われないが,「数」と「格」との融合は祖語の相当古い時期に遡ると
思われる.古代インド語に見るような印欧語の格組織がどのようなプロセ
スによって成立したかという問題はしばらく措き,ともかく「格語尾」の
持つこのような”多義性”(polyfunctionality)は,印欧語の格組織にとっ
て致命的な弱点であったと言わなければならない.
(柴田注:ズームアウト/イン型精神構造パラメータという私の仮説から
見ると、非常に古い時代には,全ての印欧諸語はズームアウト型であり、
かつOV型言語であったために、言語分野では常にズーム・パラメータと
それに矛盾する主要部(支配方向)パラメータとの激しい主導権争いがあ
り、松本氏がここで解説するような弱点を抱えていた言語構造の側に勝ち
目はなく、ヨーロッパ諸言語はズーム・アウト型パラメータに屈服して主
要部前置(右向き支配)の方向へ全面的に「転向」したのです.しかし,
インド諸語はいったん格組織が崩壊したものの、個別モジュールである言
語のパラメータが「奮起」して,全面的で自主的な機構改革を断行するこ
とにより,言語構造の論理的整合性と透明化を達成したために、ズーム・
パラメータの圧力を跳ね返して、言語分野における自己の支配権を(再)
確保したのだと考えます。)

そんなこと気にしたことなかった…。すごい。

トラックバック - http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/jiangmin-alt/20120203

2011-03-01

注文する

閑話傍題(アネクドートの小部屋): 和文解釈入門 第16回

「注文する」というのも、状況によりいろいろである。заказать (сделать заказ) のほかに、レストランではспросить ликёр(リキュールを注文する(頼む)とも言えるし、выписать журнал(雑誌を(書面で、メールで、インターネットで)注文する)、予約購読ならподписаться на полное собрание(全集を予約購読する)となる。

閑話傍題(アネクドートの小部屋): 和文解釈入門 第16回
トラックバック - http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/jiangmin-alt/20110301

2010-11-30

油脂

閑話傍題(アネクドートの小部屋): ロシア語珍問奇問第16回

油脂という語は常温で液体(油)と固体(脂)であるものを示している。ロシア語ではмаслоとжирがあるが、маслоは乳脂肪、植物の種由来の油、鉱物性の油を指し、жирは一般的に動物の体に蓄えられた脂肪分(живодтные жиры 動物性油、には乳脂肪も含まれる)だが、例外的にрастительные жиры (= растительные масла、種や実から採った油分)ともいう。必ずしも常温で固体という意味ではない。ヘット(牛脂)はговяжий жирで、ラードはлярд, смалецとかсвиной жирだが、ロシア人には塩漬けにしたшпик (шпек)のほうが分かりやすい。салоはжирと同義語だが、現代では動物の皮下脂肪層подкожный жировой слойを指すのが普通で、свиное сало(豚の脂身)などと使う。会話ではсалоは特にウクライナ人の好むもので、酒の肴である。皮脂はкожное салоという。рыбий жирは肝油(タラなどの肝臓から取れる)であって、魚油(イワシやニシンを煮て取った油)ではない。

閑話傍題(アネクドートの小部屋): ロシア語珍問奇問第16回
トラックバック - http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/jiangmin-alt/20101130

2010-09-23

ニッパー、ペンチ

閑話傍題(アネクドートの小部屋): ロシア語珍問奇問 第3回

ペンチという単語をロシア語にしようと思うと、私の持っている和露辞典 (Лаврентьев, Русский язык, 1984)ではщипцыとかкусачкиと書いてある。ペンチはどなたも御存じのように、ものをつかむとか、つぶすとか、針金の切断などが出来る工具(日本工業用語辞典では、つかみとたて刃のニッパ兼用とある)である。ちなみにニッパは針金などを切断する工具である。щипцыというのはつかむ工具であり、кусачки (острогубцыともいう)というのは針金などを切断する工具で、厳密に言えばエンドニッパのことである。何を言いたいかというと、このようにどこの家庭でもあるような工具一つでも露訳するのが難しいという事である。それではペンチにあたるロシア語はないのだろうか?私のこれまでの経験では пассатижиが一番近い。これはплоскогубцы(プライヤーまたは角口プライヤーと訳し、先の平べったい工具でペンチからニッパの機能を除いたもの), кусачки, отвёртка(ドライバー)などを組み合わせたщипцыと技術辞典 (Политехнический словарь, Ишлинский, Советская энциклопедия, 1980)にある。ドライバーといってもпассатижиの握りの片方の端がマイナスドライバーになっており、もう片方がプラスになっているというすぐれものである。ただこれまでの経験からロシア人にペンチという意味でпассатижиといっても、技術者なら意味は分かるが、よほど工具の専門の話でない限り、針金などを切断しないならплоскогубцыとか、круглогубцы(丸口プライヤー、先が丸くなったペンチからニッパ機能を除いたもの)とか、切断するならкусачкиという風に言いかえるのが普通で、пассатижиとはまず言わない。だから和露辞典の編者も書きようがなかったのだと思う。これで場面場面で要求される単語の正確さというのは違うということがお分かりになると思う。

閑話傍題(アネクドートの小部屋): ロシア語珍問奇問 第3回

ややこしい。

トラックバック - http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/jiangmin-alt/20100923

2010-03-14

藤沼貴『ロシア語ハンドブック』

@nifty:@homepage:エラー

61.   ロシア語ハンドブック、藤沼貴、東洋書店、2007年

 ロシア語の勉強をずっと長く続けていくのだと考えている人には必携の書。第1部表現・文法編は初級文法の復習には最適であり、指示代名詞の説明には感心した。ただ体の用法が説明の部分が2ページというのは少なすぎる。小数点のところは「ロシアでは小数点にはカンマを用いる」と一言書いたほうが誤解がないと思う。「~するつもりである」という構文でхотетьをその意味で使うとあるのはおかしい。日本語だって、「~したくはないが、~するつもりである」という文例もある。意向の意味であれば、собиратьсяをメインにすべきではないかと思う。第2部のテーマ別語彙項目編は若干間違いもある。特に料理や食品に多い。編者が一人ではやむをえないと思う。一部紹介すると(カッコ内は当方が訂正したもの)は、浴衣(халат)、アルミサッシ(алюминиевый переплёт)、タイル(плитка)、サヤインゲン(стручковый фасоль)、サヤエンドウ(стручковый горох)、チェリー(черемухаではなくчерешня)、укропはディルまたはヒメウイキョウで、ウイキョウはфенхель、калинаはガマズミ、малинаはラズベリー、黒ビールの訳がない(тёмное пивоでсветлое пивоは普通のビールであり、ピルゼンビールだけとは限らない)、зубровка(зубрの好む草の茎が入っている)は薬草酒の一種だが総称ではない。薬草酒は настойка、果実酒はналивкаであり、конфетыはキャンディーではなくチョコ菓子、печеньеはビスケット、картошкаはチョコ風味のスポンジケーキ、пастилаはフルーツ羹というよりはやわらかいフルーツ落雁、院長はглавврач(директор больницыとは言わない)、「点滴する」はставить капельницуという。死亡記事はнекрологであろう。食物連鎖(пищевая цепь, цепь питания)、テンプラの訳がおかしい。в кляре(ころものついた)と入れないと意味が分からない。弁当はупакованный завтракではなくпереносной обедであろう。винегретはビーツの入ったポテトサラダであり、похлёбкаは具沢山スープであり、солянкаはレモン、オリーブ、酢漬けのキュウリの入ったスープであり、飛行機の車輪(脚部)はшассиであり、腕立て伏せはотжиманиеである。手風琴と記載あるが、普通は日本語ではアコーデオンというのではないか?またロシア語の改行規則が守られていないところがあるし、30か所近く誤植があるのは残念だ。次の版で訂正されることを願う。

ロシア人の日本語ガイド向けのテキスト

@nifty:@homepage:エラー

113. *Из России с любовью(ロシアより愛をこめて), Попова, Япония Сегодня, 2005

 ロシア人の日本語ガイド向けのテキストだが、日本人のロシア語ガイドにも非常に役立つ。言葉と言うのは双方向のもので、ロシアのこと(ロシアの常識)を知らねば、ロシア人観光客の望むようなガイドはできないという意味で、またロシアのことも客観的によいところ、悪いところも紹介している画期的な参考書である。特に社会の底辺の人々について説明したところは非常によくまとまっていて興味深い。用語が単語別ではなく、フレーズあるいは文で、しかも露和で示されているのが非常に良く、ガイドや通訳にとっても使い勝手が良い。特にロシア正教の歴史や儀式の説明(特に葬儀)は分かりやすくてとても参考になる。ただ若干和訳が直訳的なところや間違いがある。例えばダイモンドファンドの用語集のいくつかの和訳などである。細かいことを言えば90ページの日本の震度の説明で7-балльная системаとあるが、これでは誤解を招く。確かに震度は0~7までだが、5と6に強弱があり、全部で10段階である。時事ロシア語に関心のある人には必携。題名だけ見ると007みたいな感じがするので、副題に「ロシア案内」などと入れればもっと売れるだろうと思う。

28.НО-05-62-514 ПОПОВА И.С. ИЗ РОССИИ С ЛЮБОВЬЮ. изд-во ЯПОНИЯ СЕГОДНЯ 2005 г. 448 стр. ISBN:5864791075 цена 61.40 Автор делает попытку обобщить свой многолетний опыт работы гидом-переводчиком японского языка и предоставить активно работающим и начинающим коллегам информацию, которая позволит отвечать на традиционные вопросы иностранных туристов и углубит контакт с туристической группой. К каждой из тем бесед прилагается короткий русско-японский словарь.

http://www.mkniga.ru/prices/AH-2005-86.RZD
トラックバック - http://jiangmin.g.hatena.ne.jp/jiangmin-alt/20100314